With IM (ウィズ・アイム) 2022 No.005

東京支局の加藤一樹です。千葉県市原市にある明星工業株式 会社の千葉営業所では、OB職員の方が技能実習1号生に対し安 全に関する基礎的な知識やプラントに入構するために必要な「新 入構者教育」を徹底して行っておられます。 同社では発電所や化学プラントに欠かせない断熱施工を主に 行っており、新たな現場に入構する際には必ず施主による安全教育 (新入構者教育)を受講することが義務付けられています。「立入禁 止」や「一時停止」といった標識の読み方や意味の理解、現場のルールなど「命を守るた め」の基礎的な安全に関する考え方などを教育し、安全管理テストをクリアしないと現場 に入ることはできません。もちろんすべて日本語で行われるため、技能実習生が自分たち だけで学習することはとても困難です。そこで同営業所の木村剛所長がすでに退職され ていた所長経験者である実 さね 藤 とう 勝 よし 幌 あき さんに指導を依頼したところ快諾してくださり、現場 に入れるまで毎日、8時から17時までの特別講義が実現したものです。 実藤さんは「ゆっくりと大きな声で話しかけることと、理解できているかどうかを常 に確認することに気を付けて指導しています。また実習生たちはやる気があり、明るく 真面目なので理解も早く教えがいがあります」と高く評価してくださっています。彼らも 漢字にルビを振るなど予習、復習に励んでいます。また、木村所長は「実習生たちは社 員と同等の扱いをするようにしています。一個の人格として誠意を持って付き合うこと が重要だと思うからです。彼らには実習中にしっかりと断熱技術を覚えてもらい、イン ドネシアにある当社の現地法人への就職でもいいし、再来日して当社で働いてくれて もいいので、技術を次の世代へ伝承する人材へと成長してほしいですね」と大きな期 待を寄せてくださっています。 同じく東京支局の内田秀彰です。私からは、神奈川県厚木 市にある株式会社小木曽製作所で毎日昼休み後に行われて いる日本語学習とおやつ休憩などを通じてコミュニケーショ ンを円滑にされている取り組みをご紹介します。 自動車部品を製造している同社では2008年からインドネ シアの技能実習生を受け入れています。彼らの実りある実習 には日本語能力の向上が欠かせないと考え、昼休み後の5分 間で、漫画や絵本を使って日本語の読み合わせをしたり小学生用の漢字練習帳 などを活用したりして社内で学ぶ機会を作ってくださっています。小木曽葉子取 締役によりますと「眼科に連れて行った技能実習生が“ひたい”や“あご”といった 子供でも知っている簡単な単語を知らないことに驚いたのがきっかけです」との ことです。また同社では当機構オリジナルの5年日誌を毎日記入するように厳しく 指導されています。インドネシアでの面接の際には「日誌を毎日書ける人しか採用 しません」と宣言してから選抜されているほどです。その結果、彼らの日本語レベ ルが上がり、ほとんど全員がN3に合格するようになりました。さらに同社では、毎 日15時になるとリフレッシュも兼ねて従業員が一斉におやつ休憩をとります。同じ おやつを食べることで技能実習生と日本人従業員の方たちとの距離が近くなり 職場のコミュニケーションの場となっています。今年5月末には技能実習生も含 め京都に社員旅行に行き、より親ぼくを深められたそうです。実習生たちに日本の おいしい食事をする機会や楽しい思い出をまた一つ増やしてくださいました。 加藤職員 (東京支局) 内田職員 (東京支局) ▲テキストを音読し、重要な単語はノートとホワイト ボードに書き出して覚えます。 ▲左:小木曽葉子取締役 右:小木曽雅則社長 ▲写真左から山口明日香さん、ガンドゥンさん、ファウザンさん、ル クマンさん、技能実習責任者木村想平さん ▲昼休憩後5分間の日本語学習。右はご指導いただく山口明日香 さん。教材は技能実習生の日本語レベルに応じて幅広く用意さ れています。5年日誌(写真右)は出勤時に提出し、添削やコメン トを加えて返却されます。日々の様子や記録にもなりコミュニ ケーションにも活用いただいています。 ▲ 居室はもちろん、バスルームやトイレな ど共用部分も小木曽社長の徹底した指 導の下、実習生たちが清掃しています。 町内の大掃除には技能実習生も参加し 近隣の方から褒められています。 ▲左からアリフさん、チャスビンさん、実藤さん、木 村所長、ヤンディさん。 支局だより I M J A PA N I n f o r m a t i o n Wi th IM 7

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