With IM (ウィズ・アイム) 2022 No.004

【図1】 危険性・有害性 人(作業者) リスクの発生 安全衛生対策の不備・不具合 労働災害 社会保険労務士 原田 芳幸 公益財団法人国際人材育成機構 リスクアセスメントによる 労働災害防止 技能実習生は、技能や技術を習得して帰国後は 母国の発展に役立つ人材になることを目指してい ますが、労働災害により負傷し後遺症が残れば、 大事な人生に大きな禍根を残してしまうことになり ます。 「注意一秒 怪我一生」という言葉があります が、どんな災害も尊い人命にかかわる大事であり、 我が身に当てはめれば恐ろしいものです。労働災 害は何としても防止すべきものであります。 そのため、職場の危険性・有害性(リスク)を評 価・分析(アセスメント)することはとても大切です。 労働災害は、「危険性・有害性」と「人(作業者)」 の両者の存在があって、発生します。どちらかが存 在するだけでは労働災害には至りません。例えば 単に刃物があるだけでは、災害にならず、それを 持って(使用して)初めて災害に至るリスクが発生 します。 この状態で、安全衛生対策の不備・不具合が あった場合に、労働災害となります。【図1】 それでは、労働災害を防ぐためにはどうすればよ いのでしょうか。 労働災害の未然防止の方法としてリスクアセスメ ントという手法が広く導入され実施されています。 リスクアセスメントは、前記の労働災害発生の 仕組みを踏まえて、 「危険性・有害性」と「人(作業 者)」が接触してリスクが発生することを事前に 評価し、その予防を図るものです。 具体的には、 「❶危険性・有害性を特定する、 ❷リスクを見積り、リスクレベル(優先度)を決め る、❸リスク低減措置を検討する、❹リスク低減 措置を実施する、❺リスク低減措置を記録し、有 効性を確認する」の5つの取組みを体系的に進め るものです。(労働安全衛生法第28条の2) ❶「危険性・有害性」(ハザード)を特定する 作業標準等に基づき、必要な単位で作業を洗 い出した上で、各作業における「危険性・有害性 (ハザード)」を特定します。 「危険性・有害性」(ハザード)は、その危険性・ 有害性によって生じるおそれのある「怪我や疾病の 重篤度」と「発生する可能性の度合い」を考慮した 「リスク」とは異なるものです。 次ページ【図2】のトラは、固有の危険性を持っ ているのでハザードにあたりますが、【図2】左はト ラのそばに人がいないので、トラに襲われる危険性 はありません。この状態は、トラによって負傷の生じ るおそれ(リスク)がない状態です。反対に【図2】右 はトラの近くに人がいるので、リスクが高まっている 状態となります。 「注意一秒 怪我一生」 労働災害が発生する仕組み 労働災害を防ぐために リスクアセスメントを活用 Wi th IM 4

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