With IM (ウィズ・アイム) 2022 No.004

海外投資情報 海外投資ニュースPickUP!! 1月〜4月 インドネシア・新首都ヌサンタラに関する法律施行 ベトナム・2021年の電力状況、風力発電の設備容量が増大 インドネシア政府は2月15日、新首都に関する法律2022 年第3号を公布・施行した。2019年にジョコ・ウィドド大統領 が発表した首都移転計画は、2020年にもカリマンタン島で 建設開始を予定していたが、新型コロナウイルスの感染状 況悪化により法整備が大幅に遅れていた。新首都の名称は ヌサンタラ(Nusantara)とされ、総土地面積は25万6,142ヘ クタール、中心部は5万6,180ヘクタールとなる。 新首都の開発計画は、5段階に分けられる。第1段階は 2022年から2024年まで、以降は2045年まで約5年ごとに 段階分けされる。第1段階では、中央政府やオフィス街、住宅 地の開発が進められ、公務員や軍隊・警察とその家族の新 首都への移動が行われる。新首都周辺の幹線道路の開発 は2023年に着工し、2035年に完了する予定だ。 第2段階(2025~2029年)では、経済クラスターの開発 が本格的に始まる。工業団地やホテル・エコリゾート施設、イ ンダストリー4.0関連施設や大学などが開発される予定だ。 産業開発と経済成長センターとしては、電動二輪車、太陽 光発電、エコツーリズム、バイオ燃料、石油化学、鉱業、ウェ ルネス・ツーリズムなどが挙げられた。 政府は新首都開発に関し、総額最大486兆ルピア(約4 兆8,600億円、1ルピア=約0.01円)の予算計画を立てた。こ のうち、国家予算で19%を負担し、残りは民間企業や国営 企業からの投資・資金提供や官民連携(PPP)で補う予定だ (「CNNIndonesia」2月21日)。 大統領肝いりで進む新首都開発、専門家は懐疑的な見方も ジョコ大統領肝いりの政策である首都移転だが、新型コ ロナ禍からの経済回復を最優先にすべきとの見方や、開発 が環境に与える影響の大きさから、懐疑的な見方も少なく ない(「Republika」2月23日)。そのほか、国会開発計画省の ボガット・ウィジャトモコ氏は、新首都がチョークポイント※で あるインドネシア列島航路(ALKI)2に近接していることや、 他国の大陸間弾道ミサイル到達圏内に位置すること、人身 売買や麻薬密売など国境を越えた犯罪のルートであること を挙げ、新たな戦略的脅威の可能性を高め得ると指摘した (「CNBC Indonesia」2月6日)。シンガポールの南洋工科 大学の准教授スルフィカル・アミル氏は、地域間の経済格差 を解決するためとの首都移転実施の理由は不十分だとし、 「政府が新首都建設に成功した場合でも、大手企業がカリ マンタンに工場移転や新たな投資を実施してくれるかは未 知数だ」との見解を示した(「CNBC Indonesia」1月31日)。 ベトナム電力総公社(EVN)傘下の国家電力調整セン ター(NLDC)によると、ベトナムの発電設備容量は2021年 末時点で、前年比12.7%増の7万8,130メガワット(MW) だった。電源構成に占める再生可能エネルギーの割合は 27%。2021年は太陽光発電の開発が落ち着いた一方、風 力発電の設備容量が前年から約8倍に増大した。 電源構成のうち、上位は石炭火力発電(2万5,397MW) と水力発電(2万2,111MW)が占める。再生可能エネル ギーは近年開発が進み、2万1,025MWまで拡大した。中 でも、太陽光発電は屋根置きを含めると、1万6,564MW で、電源構成の21.2%を占める。太陽光発電の固定買い 取り(FIT)価格の対象が2020年末までに商業運転を開 始する事業と規定されていたため、2020年まで大幅な伸 びをみせた。しかし、2021年以降の買い取り価格に関する 制度がいまだに決まっていないため、2021年の開発は停 滞した。風力発電は4,136MWで全体の5.3%を占める。電 源構成に占める割合は小さいが、前年から約8倍に拡大し た。風力発電のFIT価格の対象は2021年10月末までに 商業運転を開始する事業と規定されていたため、2021年 に急増した。 2021年の発電量(輸入を含む)は前年比7.7%増の 25万6,731ギガワット時(GWh)だった。石炭火力発電 は新規発電所の稼働が進んでおり、主力電源となって いる。再生可能エネルギーは3万1,456GWhで、全体の 12.3%にとどまるが、2016年から2021年にかけて86倍 に増加している。 PDP8最終策定に向けて調整続く ベトナム政府は2022年2月21日に第8次国家電力マス タープラン(PDP8)の最終策定に向けた会議を開き、商 工省がとりまとめた草案を検討した。議長を務めたレ・バ ン・タイン副首相は同草案に基本的に同意する姿勢を示 した。一方、開発計画における石炭火力から他電源への 切り替えや、太陽光発電の割合減少、洋上風力発電の割 合増加など、追加の調整を促した。また、仮に原子力発電 を開発する場合を想定して、必要となる法規制や手続き、 環境への影響について報告するよう指示した。 2022年02月28日 2022年03月31日 出典:日本貿易振興機構(JETRO)ht tps://www. jetro.go. jp ※海洋国家の地政学における概念の1つ。国家がその存続のために、他国によって脅かされてはならないとみる海上の交通路(シーレーン)上の要衝(海峡・ 運河・港湾)を指す。 Wi th IM 6

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