技能実習生の気持ち

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技能実習生の気持ち

今回で第24回目となったアイム・ジャパン作文コンクールは、外国人技能実習生が各々思い思いのことを本人の自筆で自由につづることが題材でした。

今回は、見事最優秀賞に選ばれた技能実習生と特にユニークな視点で作文を書き上げた技能実習生の2名をご紹介します。

ヴィスマン アーチャーリゲー ティリニ デーヴィカーさん

作品名:「何の為に頑張っているんですか」
2021年1月16日入国、現在2年目
国籍:スリランカ
受け入れ企業:大分部品株式会社
(グループホーム湧水の郷)
職種名:介護
将来の夢:介護福祉士の資格を取って活躍する!

介護を目指したのは
私は、高校を卒業した後、すぐ看護師になろうと思っていましたが、両親にはもっと学んでから現場に出た方が良いと言われたこともあり、看護師にはなりませんでした。
ある日、アイム・ジャパンの技能実習プログラムを知り、無料で日本へ行け、実習ができるとのことだったので、看護師に近い職種の介護を希望し、選抜試験に合格しました。

ひたすら猛勉強の日々
介護技能実習生になるためには、日本語能力試験N4が最低選抜基準だったため、スリランカで6カ月くらい毎日日本語を勉強してN4の資格を取りました。その後、コロナウイルス感染症の流行により、来日時期が延期になってしまいましたが、逆に時間ができたので更に半年くらいスリランカで日本語を勉強しながら出発を待ち、日本に行く前にN3に合格できました。

日本で初めての介護実習で・・・
来日したたばかりの時は、私の実習先で外国人は私だけでしたので、最初はコミュニケーションが取れないのではないかと思い、不安でした。
実際に、施設の利用者さんも方言を使って話しており、初めて聞く言葉もたくさんあり、最初はよく聞き取れず大変でした。
しかし、周りの職員さんが優しくいつも気にかけてくれて、私が困っていると簡単な日本語で教えてくれました。おかげで、半年くらいで方言を覚え、今では「分からん」「食べん」などの方言を私も時々使うようになりました。
また、利用者さんの中には外国人が苦手な方もいらっしゃって、私が介助しようとすると嫌がり、服薬の声かけにも応じてもらえず、他の日本人のスタッフが対応すると応じられたこともありました。それでも根気強く、毎日介助をすると次第に信頼関係を築くことができ、心を開いてくれるようになりました。今ではその利用者さんとすっかり仲良くなりました。

日本とスリランカで違うことは?
3つあります。1つ目は、日本人は誰にでも挨拶することです。ここでは、知らない人でもすれ違ったら、「こんにちは」とお辞儀をして挨拶をします。スリランカでは、親しい人だったら、「やあ」と言って握手をするのが挨拶の替わりです。他にも学校などで先生に会ったときは挨拶しますが、知らない人とはしません。
2つ目に気候です。スリランカは1年通して暑いです。12月に25度くらいに下がりますが今は30度以上あります。日本は暑くなったり、寒くなったりするので、特に体調管理に気をつけています。
3つ目に日本は指示、規則ルールやマナーが厳しいことです。
スリランカでは、自分の好きなところでたばこやお酒を楽しんで、夜中に大声で叫んでも何も言われませんし、警察も来ません。日本では自転車を止める場所を間違えると警察や警備員が来ます。前に店に買い物にいったとき自転車を止まる場所がよく分からなかったので、間違えて駐車禁止の場所に止めてしまい警備員に指導されたことがありました。

ホームシックを乗り越えて
家族と離れて一人暮らしで、日本人の友達もあまりおらず、寂しいと思ったときもありました。そんなときは、同じ会社でいつも応援してくれる親しい日本人と話します。ホームシックになったときもありますが、電話で連絡をして家族の声を聴いて頑張りました。またある日、会社の人と5人くらいで久住山に登りました。天気が良くて、きれいな景色に感動しました。他にも別府温泉にも行きました。久住山だけではなく、日本はどこでもきれいだったので感動しました。
私は、実習だけではなく、旅行にも行くこともでき、日本でいろいろな想い出と経験ができています。来日して本当によかったです。

トトロの森にて

将来の夢のために
今年の目標は日本語能力検定N2に合格することです。
そしてN2に合格したらN1も目指します。日本にいる間に取りたいです。

社長と賞状を掲げるティリニさん

アッジマー セーグワンさん

作品名:「学習と自己開発のためのテクノロジー」
2022年5月7日入国、まもなく2年目
国籍:タイ
受け入れ企業:株式会社TSD
職種名:電子機器組み立て

日本での技能実習、担当ははんだづけ
私は技能実習生として日本に来て電子機器組み立ての仕事をしています。
最初は難しかったですが、ケンスケさんや先輩に教えてもらい、できるようになりました。
現在、私ははんだ工程を担当していて、はんだづけをしています。はんだごて、ドライヤーやニッパを使って、基盤と部品を接合します。ケーブルを端子につなぐ、はんだコネクタやつないだ後のケーブル処理などをします。はんだづけで難しいことは、完成したときの仕上がりがバラバラにならないように、そろえなければいけないことです。今、会社には200人くらいいて、アイム・ジャパンの技能実習生は13人います。みんな別の工程で、はんだ工程にいる技能実習生が3人で、2人が後輩です。

作業を効率よく覚えるためにあるツールに着目
いつもケンスケさんから新しい言葉を教えてもらいますが、どうやったら早くことばを覚えられるか考えました。そしてデータベースの活用を思いつきました。
教えてもらった新しいことばをメモして、後でそれをデータベース化します。そうすれば、将来的にみんなで共有して後輩にどんどん受け継いでいけば、仕事でよく使うことばが効率よく習得でき、とても便利だと思います。

編集中のデータベースを見せていただきました。

今後の目標
図面の手順書に描いてある日本語を覚えて、教えてもらわなくても自分でも読めるようになりたいです。実習3年目には日本語能力試験N2に合格し、将来は子供に日本語を教えたいです。

ケンスケさんに聞いた感想
私は主に、はんだづけを担当しており、どうすればやりやすいかなどのコツを交えながら技能実習生に教えています。データベースの活用については作文を見せてもらい、初めて知りました。私が担当している技能実習生はみんな作業をすぐ覚え、難しいことばでも、こちらがゆっくりかみ砕いて説明すると理解してくれます。最初のころは心配でしたが、だいたい2ヶ月くらいで作業を覚え、今はもう慣れており、以前より上手にできています。
休憩時間などは、特に実習に熱心なアッジマーさんから積極的に質問をしてくるので、こちらも本気で専門用語などを教えています。
今回のスプレッドシートの活用などのように、今後更にやる気に満ちた技能実習生たちから積極的な提案があると嬉しいですね。

まとめ

日本全国には、約33万人もの外国人技能実習生が在留しています。(法務省資料参考)
外国人技能実習生は皆、家族から熱い信頼と期待を寄せられ、母国から遠く離れた異国の地、日本で様々な新しい経験を積んで母国に帰っていきます。
アイム・ジャパンはそんな技能の習得に熱心なアジアの若者を応援しています。

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