明日に向かって~ スリランカ人介護技能実習生が本音で語る今と未来 後編

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明日に向かって~ スリランカ人介護技能実習生が本音で語る今と未来 後編

「明日へ向かって~ スリランカ人介護技能実習生が本音で語る今と未来」前編に続いて、「後編」になります。引き続き、社会福祉法人かつみ会 特別養護老人ホーム エンゼルの丘で介護技能実習生として活躍しているスリランカ人のウメシさん、モナーリさん、タルシさんの3人に、日本に来てから感じたこと、経験したことについて伺っていきます。

左から、カハダワラ アーラッチラーゲー タルシ タットサラニさん(以下、タルシさん)、ウィジェーラトナ ガマゲー ウメシ アヌラーダー ウィマラスーリヤさん(以下、ウメシさん)、ジャヤラット アーラッチゲー モナーリ タシーマー ラージャパクシャさん(以下、モナーリさん)

利用者の皆さんはいつも笑顔で私たちを理解しようとしてくれる。

編集部(以下、編)
「日本に来てから日本の印象は変わりましたか?」
タルシさん(以下、タ)
「来る前に日本には良いイメージがありましたが、今はもっと良い国だなと感じます。今まで会った人たちは本当に良い人たちです。みんな優しくて、親切です。」
「特に印象に残っている人はいますか?」
タ・モナーリさん(以下、モ)
「もう会社を辞めてしまわれたのですが、職場で出会った女性が、お母さんのような存在でした。私たちのことを今でも気にかけてくれます。色々なことを助けてくれました。」
ウメシさん(以下、ウ)
「日本に良いイメージは持っていましたが、最初は仕事が終わった夜に1人で歩くのが怖かったです。会った人はみんな良い人でした。困ったら助けてくれる人ばかりです。」
「みなさん、悪い人の話をしてもいいんですよ(笑)」
タ・ウ・モ
「いままで悪い人には本当に会ったことがないんですよ!信じて下さい(笑)」
「日本に来る前は肌の色が違うので、おじいさんやおばあさんは私たちと一緒に住むのが嫌かもと思っていました。けど、みなさんと楽しくお話していると、そうした不安は吹き飛びました。みなさん、おしゃべりが好きで、話していて楽しいです。私の話す日本語が分からない時でも、みなさん理解しようとしてくれるので安心です。」
「あと、来る前は日本は寒い国だと思ってました。けど、夏がすごく暑くてびっくりしました。スリランカよりも暑いです。」
「特に湿気がね…(笑)」
「そうですね、湿気が大変です(笑)」

ハードな仕事でも日本語の勉強は欠かさない

「それでは実習についてもう少しお話を聞ければと思います。介護実習はどうでしたか?」
「最初は少し大変でした。入浴介助、食事介助とか。今は慣れてるから大丈夫です。あとは、最初、利用者さんとお話しするとき、昔の言葉で話すので聞き取りに苦労しました。「腹減った」の意味が分からなくて戸惑いました(笑)。」
「確かに(笑)。「お腹がすいた」、とか「空腹だ」のように、教科書にはフォーマルな記載が多いですよね。」
「今も利用者さんが「あげっぽい」とか、分からない言葉を話すときがあります(笑)」
「あげっぽい!? 僕でも分からないです(笑)日本語は難しい…苦笑」
「日本にきたときは大変だったけど、日本人の先輩が全てよく教えてくれるので助かっています。入浴介助や食事介助についても丁寧に教わったので、今は大丈夫です。最初は腰が痛くてしょうがなかったです。とはいっても、今も腰は痛いですが…」
「入浴介助をするときは今も腰が痛くなります…」
「そうしたハードな仕事をこなしながら勉強するのは大変だと思いますが、どうやって勉強してますか?」
「休みの日にまとめて勉強するようにしています。あとは、午後4時に仕事が終わる日は、少し休んで勉強しています。」
「私も休みの日に集中して勉強します。仕事が早く終わるときは平日でも勉強しますが、夜9時とか10時を過ぎるまで仕事があるときは疲れて勉強できません。」
「私も休みの日は一日中勉強しますが、早番の時は平日でも勉強しています。休憩時間はスマホのアプリで勉強しています。Youtubeで日本語の動画を観たりしています。」
「日本語の勉強はどんなことを勉強しているんですか?」
モ・ウ・タ
「私たちは、日本語能力試験2級(N2)合格するために教科書を買って勉強しています。分からないことは周りの日本人の職員さんに質問しています。」
「日本語以外でも勉強することがありますか?」
「今は日本語だけ勉強していますが、そろそろ介護の実技試験があるので、昨日からそのための勉強が始まっています。」
「日本語に加えて介護の勉強とかなり忙しそうですね、なかなか遊ぶ日がないように思うのですが、いかがですか。」
「今はコロナだから外出していません。家では、食べて寝て、動画を観たりしています(笑)。一緒に家で映画を観たりしたいですが、みんなバラバラに実習しているので、なかなか時間が合いません。」

自分の力で生きていく、いろんなことを学んだ実習の日々

「実習で学んだことを一つ挙げるなら何ですか?」
「高校生のときは社会についてあまり知りませんでした。社会について色んなことを学んだのが一番の収穫かもしれません。日本に来る前は社会人とコミュニケーションする機会はありませんでした。ですが実習を始めたら職場の人だけでなく施設の利用者、施設に来る人など色んな人とコミュニケーションしないといけません。「この人はこういった性格の人だから接し方を少し変える必要があるな」等と人に合わせたコミュニケーションができるようになりました。」
「あとは自分で生活しないといけません。今までお母さんがやってくれたこと、料理や洗濯、掃除など自分ひとりで出来るようになりました。」
「高齢者のお世話をする仕事に就きたいと思っていましたが、実際は思っていたよりも大変でした。けど今は頑張れていて充実しています。お父さんもお母さんも、年を取ったら私に介護してほしいと言っています。家族も私の成長した姿を楽しみにしているみたいです。あとは職場には介護士や看護師の人がいるのでたくさん専門的な知識を教わることができています。私が分からないことを聞くとみなさんいろいろと親切に教えてくれます。」
「いっぱい勉強しました。介護の知識だけでなく日本語や生活のことについてリーダーの人がたくさん教えてくれます。あと集団で働くことの大切さや自立することの大切さを学びました。」

起業、介護の先生、看護師…広がる技能実習後の夢

「スリランカに帰ってからやりたこと、夢・目標のようなものがあれば教えてください。」
「最初は、スリランカに帰ったら大使館で働きたいと思っていました。けど今は、介護の道具を日本からスリランカに輸入して自分のお店をもちたいです。それが出来なかったら、スリランカから紅茶をはじめとした特産品を日本に輸出したいです。」
「スリランカのお茶は美味しいですよね。僕も好きです(笑)。」
「最初は日本語の先生になりたいと思ってましたが、スリランカに帰ったら海外雇用局などで介護の先生になりたいです。」
「帰ったら看護師になるつもりです。高校で化学も勉強していたので初めから看護師になるつもりでした。実習は介護ですが、実習中に学んだ利用者の方々とのコミュニケーション力が役立つと思っています。」

~最後に~

3人とお話しする中で、特に印象に残ったのは、みなさん母国にいる時から日本で技能を身につけたいという強い思いで、日本語の勉強に一所懸命に取り組んでおられたことでした。コロナ禍でなかなか外出できない日々が続く中、ともすれば単調な生活になりがちですが、日本語と介護の勉強に前向きに頑張っておられる姿に私も身が引き締まる思いがしました。

これからも異国の地(にほん)で頑張る実習生の姿を皆様にお届けしていきます。普段接する実習生一人ひとりの人生に思いをはせる機会になれば幸いです。

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